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マントラとは何か?
マントラとは「真言」と言われ、讃歌や祈り、文字や言葉を意味したサンスクリット語です。
細かくいうと「mana」は「考える、心」、「tra」は「自由、解放」と言われています。
そしてこのマントラを一定のリズムで唱えることをチャンティング(詠唱、唱和)と言います。
厳密にいうと、誰もが唱えてもいいシュローカと、選ばれた者だけが唱えられるマントラと分けられるのですが、近年ではどちらも同じ意味で使われているようです。
アシュタンガヨガでは練習の始めと終わりにマントラを唱えます。
なんのために唱えるの?
様々な先生方に聞いてきましたが、正直なところ、先生によって考え方は色々でした。
「ヨガに出会わせてくれた先人の方達に感謝するもの」
「練習が怪我なく、実りの多いものになるように祈るもの」
「唱えること自体がプラクティスなのだ」
「サンスクリット語で唱えることでバイブレーションが体に浸透する」etc…
もっと多くの先生に聞けば、もっと多くの回答があるはずです。
私はそれでいいと思っています。
それぞれが自分で意味を見出して唱えればいいのです。
ただし、なんとなく唱えるのではなく、意味を知っていることは大切だと思いました。
マントラの意味とは?
正直なところ、非常に多くの比喩表現が使われており、日本語訳ではマントラの本質はわからないでしょう。
例えば、最初に出てくる「グル(※1)」というのはパタビジョイス師のことを指すと思われがちですが違います。
なぜならこのマントラはシャンカラチャリアという今から千年以上も前の人が作ったものだからです。
また、「アーディシェーシャの化身たるパタンジャリよ」と言われても、パタンジャリはわかったとしても
「アーディシェーシャ」の化身(※2)とはなんなのか?etc…
、、、ほぼ全てがわからないですよね。
これらはインド哲学や乳海攪拌(にゅうかいかくはん)といった神話を学ぶとわかってくるのですが、それに基づいてこのマントラを訳そうとするととんでもない文字量になってしまいまい、本になってしまいます。。。
※1.「グル」はヨガを代々伝え続けてきたヨガの導き手を指す(諸説あり)
※2. 「アーディーシェーシャ」とは原初の蛇、アナンタ(蛇の形をした神)の別名
始まりのマントラ(始まりのチャンティング)
終わりのマントラ(終わりのチャンティング)
始まりのマントラは誰が作ったの?
インドの古典経典であるヴェーダの奥義書ウパニシャッドを体得し、不二一元論を唱えて、ヴェーダンダ学派の開祖としてインド最大の哲学者とされるシャンカラチャリア。
8世紀に実在した彼が編纂したヨガタラヴァリ(Yoga Taravali)の中で「ヨーガ・スートラ」を編纂したとされるパタンジャリへの長い祈り。その詩の一部です。
以下のような呼ばれ方もします。
始まりの祈り、オープニングチャント、オープニングマントラ
Opening Player, Opening mantra, Opening chant
終わりのマントラは?
始まりのマントラと違い、実は終わりのマントラには「マンガラ・マントラ」という名前があります。
インドの古典経典であり「知識、智慧」といった意味があるヴェーダ。
紀元前10世紀頃~紀元前5世紀頃に編纂されたと言われていますが、元は神から授かったとされています。
その一部にウパニシャッド(奥義書)と呼ばれる哲学的な部分があり、さらに分類されてリグ・ヴェーダがあります。
マンガラ・マントラはリグ・ヴェーダの中に登場します。
マンガラ・マントラは平和を祈るものであり、
マンガラには「縁起がいい」とか「吉兆の」といった意味があります。
以下のような呼ばれ方もします。
終わりの祈り、クロージングチャント、クロージングマントラ
Closing Player, Closing mantra, Closing chant, Mangala mantra
私は、始まりのマントラを唱えると、心が静かになって練習へのスイッチが入り、終わりのマントラではこれから戻る日常への心構えを確認する時間としています。
ヨガシェアでは、まもなく発売のアシュタンガヨガ・シート裏面。そしてiPhone専用アプリ ”YogaShare|ヨガシェア” のコンテンツではマントラ唱和の最後に日本語訳をつけています。
※コンテンツの一部を撮影しました。
ぜひマントラの確認に、チャンティングの練習にと、みなさまの手にとっていただけると嬉しいです。
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